
マイクロ法人を作れば社会保険料が下がる、所得税も減る――そういった情報はSNSや書籍で広まっている。だが税務署の目線で見ると、やり方次第でリスクになる部分がある。本記事では、マイクロ法人でやってはいけないこと・注意すべき落とし穴を整理する。
よくある誤解①「とりあえず法人を作ればOK」
マイクロ法人の節税効果は、事業の実態があることが大前提だ。形だけ法人を作って実際の活動がなければ、税務署から「租税回避の器」と判断されるリスクがある。法人口座への入金が売上として説明できない、役員報酬の根拠がない――そういったケースは調査対象になりやすい。
よくある誤解②「役員報酬は自由に決められる」
役員報酬は原則として事業年度開始から3ヶ月以内に決定し、その後は変更できない(定期同額給与のルール)。途中で勝手に増減すると、その差額が損金不算入になる。年の途中で「今月は少なくしよう」といった調整は通じない。
やってはいけないこと3つ
1. 個人・法人の経費を混在させる
個人用の支出を法人経費に計上するのは最も指摘されやすいポイントだ。自宅兼事務所の家賃、通信費、車など「按分が必要なもの」は計算根拠を残す必要がある。「だいたい50%業務用」では通らない場合がある。
2. 社会保険料削減を目的に法人と個人を使い分ける
マイクロ法人で役員報酬を最低限に抑えて社会保険料を下げつつ、個人事業の売上を大きくする手法は広く知られている。ただし、その実態が「節税目的だけの形式的な法人分割」と見なされた場合、過去に遡って指摘される可能性がある。
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3. 法人の資産を私的利用する
法人名義で購入したPCや機材を個人で使う場合は「貸付」や「現物給与」として処理が必要だ。何も処理せず使っていると、税務調査時に認定賞与として課税される可能性がある。
税務調査リスクが上がるパターン
- 法人の売上が毎年ちょうど消費税の免税ライン(1000万円)以下で収まっている
- 役員報酬だけが法人の唯一の支出になっている
- 設立直後から赤字が続き、繰越欠損金だけが積み上がっている
- 個人口座と法人口座の入出金が混在している
これらは税務署が「実態の伴わない節税スキーム」を疑う際に着目するポイントだ。
「グレーゾーン」に踏み込む前にやること
税務調査は大企業だけの話ではない。小規模法人でも、申告内容に矛盾があれば問い合わせが来る。設立前に税理士へ相談し、①事業の実態、②根拠のある役員報酬額、③個人・法人の役割分担を整理しておくことが、後からのリスクを下げる最短路だ。
マイクロ法人は正しく使えば有効な節税手段だが、「とりあえず作れば得になる」という話ではない。デメリットと注意点を知った上で判断する必要がある。




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