Logic ProからAbleton Live Suiteに乗り換えた。ちょうど1年ほど経った今、なぜ乗り換えたのかを整理しておきたい。
結論から言うと、「Logic Proは悪くなかった。でも自分の作りたい音楽に合っていなかった」というのが正直なところだ。
乗り換え前のLogic Pro歴
DAW遍歴はGarageBand→Reaper→Ableton Live Intro→Cubase Elementsと、約1年間で4本渡り歩いた。それぞれで「これじゃない」を体感してから、Logic Proを36,800円で購入した。
Logic Proを使い始めた当初は感動した。UIが直感的で、付属プラグインの充実度が圧倒的だった。「最初からこれを買うべきだった」と思ったのは今でも覚えている。
実際、Logic Proで1年以上作業した。付属のSculptureやRetroSynthは音が面白く、Drummers機能でリズムを組むのも楽だった。コード進行を書いたり、シンプルなループを作るには十分すぎるくらいの環境だった。
違和感が出てきたのはどこか
問題が出始めたのは、自分の音楽の方向性が変わってきたときだ。
Teenage Engineering EP-40を友人からもらって以来、ダブとレゲエにのめり込んだ。リバーブとディレイを重ね、空間の中で音が溶けていく感覚。それをもっと細かく、ライブ感覚でコントロールしたくなった。
Logic Proでもオートメーションは書ける。エフェクトのパラメータをリアルタイムに動かすこともできる。ただ、「クリップ単位でループを組み替えながら音を重ねる」というアプローチに対して、Logic Proの画面構成は向いていなかった。アレンジメント画面が基本になっているため、「今鳴らしながら考える」という使い方をするたびに画面の切り替えが発生した。
これは個人の作業スタイルの問題だ。Logic Proが劣っているわけではない。ただ自分には合わなかった。
Abletonで変わったこと
Ableton Live Suiteに乗り換えて最初に驚いたのは、セッションビューの存在感だ。
クリップを縦に積み上げ、Launchボタン一発で切り替えながら音を重ねていく。ループを鳴らしながら別のクリップを試す。気に入った組み合わせができたらアレンジメントビューに書き出す。このフローが、ダブ的な「音が発展していく感覚」に近かった。
Echoエフェクトも優秀だった。スネアのフィードバック量をオートメーションで制御して、徐々に空間に溶けていく演出を作れるようになった。これはEP-40でリアルタイムにDecayをいじっていた感覚のデジタル版だと感じた。
Max for Liveの存在も大きい。標準では届かない部分を自分で作れる環境があるというのは、長い目で見ると重要だ。今はまだほとんど使っていないが、将来の選択肢として残っている安心感がある。
デメリットも正直に書く
Ableton Live Suiteは安くない。通常版で8万円台を超える。Logic Proの36,800円(買い切り)と比べると明らかに高い。
付属の音源・プラグインについては、Logic Proの方が即戦力になる素材が多いと感じている。Abletonも十分だが、Logic Proのピアノ音源やオーケストラ素材は完成度が高く、単純な音源の量・質で比較すると一部でLogicに分がある。
UIの学習コストも正直かかった。セッションビューとアレンジメントビューの切り替え、クリップの概念、Rackの構造。慣れるまで3ヶ月は混乱した。
「どちらが正解か」という問いへの回答
これは作りたい音楽によって変わる。
ピアノ弾き語り・バンドサウンド・オーケストラアレンジ・J-POPのトラック制作を中心にやっているなら、Logic Proの方が入りやすいと思う。Macであれば36,800円の買い切りという価格優位は本物だ。
ループ・クリップベースの音楽、ライブパフォーマンス前提、エレクトロニック音楽・テクノ・アンビエント・ダブを中心にやっていくなら、Abletonのセッションビューが本質的に合っている。
自分はダブとアンビエントを作りたかった。だからAbletonにした。Logic Proが悪かったのではなく、自分の音楽の方向性が決まった結果として乗り換えた、というのが正確な表現だ。
乗り換えを考えているなら
Logic Proから乗り換えるかどうか迷っているなら、まず「自分がどんな音楽を作りたいか」を先に決めた方がいい。ソフトウェアのスペック比較をいくら読んでも、作業スタイルとの相性は実際に触ってみないとわからない。
Ableton Live Suiteは30日間の無料トライアルがある。セッションビューで3日くらい遊んでみれば、「これは自分に合うか合わないか」の感触は掴める。
Logic Proについては、今でも良いDAWだと思っている。Macに特化して完成されたソフトウェアとして、あの価格で手に入るのは素直にすごいと思う。
まとめ
Logic Proを使っていた期間は無駄ではなかった。DAWの基礎を学ぶには十分すぎる環境だった。そこで積み上げた経験があったからこそ、Abletonで何をしたいかが明確になった。
乗り換えてよかったと思っている。今は毎晩セッションビューを開いて、クリップを並べながら音を重ねている。




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