就職氷河期をなんとかくぐり抜けて、気づけば「まあなんとかなる」が口癖になっていた。会社と家を往復するだけの日々のなかで、ふと「自分の手で何かを調達する」感覚が欠けていると気づいた。別に農業を始めたわけでも、山奥に引っ越したわけでもない。ただキャンプ道具を少しずつ揃えていったら、なぜかその感覚が戻ってきたんだ。
「道具を持つ」こと自体が、自立の第一歩だった
キャンプを始める前の俺は、火を起こしたことも、テントを立てたことも、ほぼなかった。最初のうちは正直「YouTube見て覚えるか」くらいの気持ちだった。でも実際に自分で焚き火台を使って火を起こし、飯盒でご飯を炊いた瞬間、何かがスイッチした。
「これ、俺が作ったやつだ」
たった一膳のご飯だ。でも、コンビニで買うのとは全然ちがう感覚がある。道具があれば、自分でできる。そのシンプルな事実が、なぜかとても腑に落ちた。昭和生まれの俺たちって、親の世代から「持つより借りろ」「買えばいい」って時代の恩恵を受けてきた。でも今、道具を手元に置いて使いこなす感覚が、ちょっとした誇りになっている。
とにかく一度キャンプに行ってみることが全ての始まりだ。最初は不格好でいい。道具はその後でいい塩梅に揃えれば十分だ。
入門者におすすめ!最初に揃えたい具体的なキャンプ道具5選
「何から買えばいい?」という質問、よく受ける。失敗した経験も含めて、俺が最初に揃えるべきだったと思う5つを正直に書く。
①ソロテント(ogawa ステイシーST-2 / コールマン ツーリングドームST)
軽くて設営が簡単なものを選ぶのが鉄則。「かっこいいやつ」より「自分で立てられるやつ」。設営に手こずると、それだけで体力が削られる。
②焚き火台(ユニフレーム ファイアグリル)
安定感があって、調理にも使える万能型。オプションでグリルも付けられる。最初の一台として文句なし。価格帯も現実的で、長く使える。
③クッカー(スノーピーク トレック 900)
米が炊ける、スープが作れる、麺もいける。ひとつあれば食べることに困らない。軽量で洗いやすく、ソロキャンプの定番中の定番。
④寝袋(モンベル ダウンハガー800 #3)
睡眠の質が悪いと翌日が辛い。「安い寝袋」で失敗した夜は今でも覚えている。3シーズン対応のダウン寝袋に変えてから、朝が別物になった。
⑤ヘッドランプ(ブラックダイヤモンド スポット325)
地味だけど夜のキャンプで絶対に必要。両手が空くのが大事。電池式で交換できるタイプを選んでおくと、山奥でも安心。
「全部揃えてから行く」は必要ない。まずテントと寝袋と光さえあれば出発できる。足りないものは現地で気づいて補えばいい。
キャンプは「小さな自給生活」の練習場だ
最近、自分のことを「あたらしい百姓」と呼ぶようにしている。農地はないし、家畜もいない。でも、自分の手で何かを作り、動かし、完結させる感覚——それがキャンプにはある。
火を起こして飯を炊く。水を汲んで道具を洗う。テントを張って、帰り際にきれいに撤収する。このサイクルがいわば「小さな自給」だと思っている。
都市生活を否定したいわけじゃない。コンビニも電車も最高だ。ただ、たまに「電気もコンビニもなかったら俺どうなる?」という感覚を取り戻しておきたい。
キャンプ道具は、その感覚を取り戻すための「装備」だ。使いこなせるほど、小さな自信が積み重なっていく。年齢なんて関係ない。氷河期世代のおじさんが、50手前でようやく気づいたことだ。
まとめ
キャンプ道具を揃えることで、俺の中に「自分でできる」という感覚が戻ってきた。大げさなことじゃない。火を起こして飯を炊く。それだけで十分だった。
最初から完璧に揃えなくていい。テントと寝袋と光さえあれば出発できる。挫折するなら、動いてから挫折しよう。道具はその先で自然と揃っていく。
「あたらしい百姓」への第一歩は、キャンプ場から始まる。


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