「新品で買ったけど全然使わないからあげる」という話が転がり込んできた。Teenage EngineeringのEP-40、通称「riddim n ting」。もらった瞬間は正直「なんか変な形してるな」くらいの印象だった。それが今、部屋で一番触っている機材になっている。
EP-40とは何か
Teenage Engineeringというスウェーデンのメーカーが出した、ダブ・レゲエ特化のポケットシンセだ。「riddim」はジャマイカのパトワ語でリズム(rhythm)のこと。その名の通り、ダブミュージックを作るために設計されている。
サイズは手のひらに乗るくらいの小ささ。単4電池で動く。スピーカーも内蔵している。本体には小さなスピーカー・ステップシーケンサー・つまみが並んでいて、一見すると「これで何ができるんだ?」という見た目だ。でも電源を入れた瞬間から、音が別物だった。
搭載されているのは「RIDDIM SOUNDBANK」と呼ばれる本格的なリズム音源、ダブサイレン、スーパートーンと呼ばれるシンセ音。どれもダブ・レゲエの現場から引っ張ってきたような生々しいサウンドだ。
もらってから最初の30分で沼に落ちた
説明書を読まずに電源を入れた。適当にボタンを押していたら、重低音のキックとスネアが鳴り始めた。つまみを回したらリバーブが深くかかって、音が洞窟の中で鳴っているみたいになった。「なんだこれ」と思った瞬間に、もう30分が経っていた。
前回紹介したKORG Volcaとは全然違う感覚だった。Volcaは「自分でリズムを組み立てる」楽しさがある。EP-40は「音を空間に溶かしていく」楽しさがある。エフェクトの深さと、リズムが持つグルーヴ感が独特で、他のガジェットシンセでは出ない種類の音がする。
前の持ち主が飽きた理由も少しわかった
ダブ・レゲエという音楽ジャンルを知らないと、EP-40は「変な音が出る機械」にしかならない。リディムもダブサイレンも、文脈を知らないと何をすればいいかわからない。前の持ち主は多分、その文脈を持っていなかったんだと思う。
逆に言えば、ダブという音楽を少し知るだけで、この機材の面白さが一気に開く。実際、EP-40を触りはじめてからダブミュージックを調べ始めて、今では週末に古いレゲエ・ダブのレコードを掘っている。機材が音楽の入り口になった、という感覚がある。
「ひょんなこと」で手に入れた機材が一番ハマる
欲しくて買ったものより、偶然手に入ったもののほうが深くハマることがある。EP-40がまさにそれだった。自分では絶対に選ばなかったジャンルの機材を、たまたまもらったことで、知らなかった音楽の扉が開いた。
中古で買う楽器・機材の面白さも、そこにある。自分の趣味の外から来たものが、新しい扉を開くことがある。「使わなくなったから」と手放されたものが、次の人に渡って深く愛される。そういうサイクルが、機材の世界には確かにある。
この機材がきっかけになった
Teenage Engineering EP-40 riddim n ting(公式ページ)
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