新しいAKAIのMPCをなぜ買わないのか|欲しいけど今は我慢する理由(欲しいけど買わない #1)

新しいAKAIのMPCをなぜ買わないのか|欲しいけど今は我慢する理由(欲しいけど買わない #1) 音楽・機材
AKAI MPC Sample コンパクトサンプラー

正直に言う。新しいAKAIのMPC Sample、めちゃくちゃ欲しい。

動画を見れば見るほど、パッドの打鍵感、スタンドアロンで完結するワークフロー、MPCならではの「ビートを組み上げる快感」が伝わってくる。触ったら最後、たぶんテンションは爆上がりする。

それでも俺は、今回あえて買わない。理由はシンプルで、今の自分の優先順位と合っていないからだ。

MPC Sampleって何者?「小さなOne+」じゃない

まず整理しておきたいのが、MPC Sampleの立ち位置だ。これは MPC One+ の廉価版でも、ダウンサイジング版でもない。

MPC One+ が「DAW in a box」的な制作ワークステーションなら、MPC Sampleは「思いついた瞬間に触るための専用サンプラー」だ。内蔵バッテリー、内蔵スピーカー、内蔵マイクという構成がその思想をよく表している。机に向かって制作を始める機材じゃなく、ソファでも外でも、まず音を掴まえるための機材。

近年のMPCは高機能化が進みすぎて、ある種の「整いすぎ感」があった。MPC Sampleはその反動に対するAKAIなりの回答に見える。サンプルを切る、叩く、ノる。その根っこの部分にもう一度焦点を戻した一台だ。

スペックを並べると:16個のRGBパッド(poly aftertouch対応)、2.4インチカラー画面、8GB内蔵ストレージ(microSD拡張可)、2GB RAM、5時間駆動バッテリー、Instant Sample Chop、4系統のエフェクトエンジン、USB-C(audio/MIDI/ファイル転送対応)。

価格は?国内62,800円という現実

海外価格は399ドル。国内では62,800円(税込)前後が見込まれる。

単純なドル円換算より高く感じるかもしれないが、消費税・流通コスト・国内保証を考えれば納得感のある水準だ。むしろ、この価格帯に収まったことでライバルが見えてくる。

同じ帯で真っ先に比較されるのが Roland SP-404MKII だ。

Roland SP-404MKII

Roland SP-404MKII(Amazon)でチェックする

SP-404MKIIはエフェクト特化でライブパフォーマンス向き、MPC Sampleはビートメイク・サンプリング特化。どちらが合うかは使い方次第だが、「MPC的ワークフローで速く気持ちよくビートを作りたい」ならMPC Sampleに分がある。

「じゃあ中古の旧MPCは?」という選択肢

ここが個人的に一番悩ましいところだ。

MPC SampleはMPC60・MPC3000のデザインをオマージュしているが、「旧MPCの音を出す機材」ではない。しかし、それを言い出すと「本物を中古で買う」という選択肢が浮かぶ。

MPC60やMPC3000の中古は現在でもヤフオクやメルカリで流通しており、程度によっては数万円〜十数万円で手に入る。あの独特のサチュレーション、タイム感、ドラムの前に出る感じは、確かに現代の機材では完全に再現できない。

ただし、現実的な課題もある。

  • サンプリングにフロッピーやCD-ROM(機種による)が必要な場合がある
  • 現代のDAWとの連携が煩雑
  • 修理・メンテナンスのリスク
  • MPC3000クラスは状態良品だと10万円超えも珍しくない

「道具として使い倒す」より「体験として向き合う」覚悟があるなら旧MPCは本物の体験をくれる。でも今の自分にはその覚悟がまだない。

より現実的な入口としてなら、MPC One+の中古も選択肢に入る。

AKAI MPC One+(Amazon)でチェックする

「高いから買わない」は、逃げじゃなく戦略

楽器沼にハマると「欲しい=買う」になりがちだ。俺も何度もそれで失敗してきた。買った直後は最高、でも2ヶ月後に触らなくなって、クレカ明細だけが残る。あの虚しさはもう味わいたくない。

だから今回は、先に条件を決める。

  • いま使ってる機材で、週何回アウトプットできているか
  • 次の機材がないと本当に詰まるポイントがあるか
  • 3ヶ月後も使い続けるイメージが具体的にあるか

この3つを満たせるまでは、MPC Sampleは買わない。欲望にブレーキをかけるというより、買ったあと後悔しないための下準備だと思っている。

欲しいけど我慢している人へ

たぶん同じ人、多いと思う。「欲しい」「でも高い」「いやでも欲しい」の無限ループ。そこで無理に結論を急がないほうがいい。

買わない期間って、実はかなり有益だ。レビューを読み漁る、制作環境を見直す、今ある機材の限界を把握する。この時間があるほど、買ったときの満足度は上がる。

逆にこの期間を飛ばして買うと、「思ってたのと違う」の確率が跳ね上がる。

シリーズ化します:「欲しいけど買わない」

この記事を1本で終わらせず、シリーズ化していく。テーマは一貫してこれ。

「欲しい。でも今は買わない。その理由を正直に書く」

次候補はこのあたり。

  • OP-1 Fieldをなぜ買わないのか
  • Elektron Digitakt IIをなぜ買わないのか
  • Moogの上位機種をなぜ買わないのか
  • 高級オーディオインターフェースをなぜ買わないのか
  • 10万円超えのモニタースピーカーをなぜ今は見送るのか

結論

MPC Sampleは間違いなく魅力的だ。62,800円という価格も、この機材の内容を考えれば納得感がある。でも、今の俺にはまだ早い。だから買わない。

この「買わない判断」は、音楽を諦めるためじゃない。むしろ逆で、長く続けるための判断だ。欲しい気持ちを否定せず、でも財布と現実を無視しない。そのバランスで、次の一台は選びたい。

MPC Sampleをもっと知りたい人へ

買うかどうかはともかく、気になるなら詳しく見ておくのは損じゃない。

実機レビューを読んでから「やっぱり欲しい」となっても責任は取れないが、少なくとも後悔のない判断材料にはなる。

次に読む

ここからは完全に余談になるんだけど、「欲しいけど買わない」という判断をきちんと言語化できるようになると、他の消費行動にも応用できるようになる。MPCの話でいえば、ハードウェアへの憧れと、実際にそれが必要かどうかは別軸だと気づいた。

音楽制作機材って、「これがあれば自分の音楽が変わる」という幻想を抱きやすいジャンルだ。でも実際は、道具が変わっても作る人間が変わらなければ、出てくるものはそう変わらない。むしろ新しい道具に慣れるコストで、既存の道具を深掘りする時間が失われることのほうが問題だったりする。

提言として、「欲しいものを買わない判断」を記録しておくのはおすすめだ。3ヶ月後に見返して「やっぱり欲しい」と思えば買えばいい。「あ、もう興味ない」と思えば、それが自分の本当の欲しいものではなかったということだ。衝動と本物の欲求を区別する練習をすると、お金の使い方が変わり、持ち物が減り、残ったものへの愛着が増す。道具と長く付き合うのは、生活に一種の豊かさをもたらす。

コメント

タイトルとURLをコピーしました