YAMAHA HS5 vs HS7 比較|音圧・低音・価格差の違いと選び方

音楽・機材

スピーカーに10万円。正直に言えば、買う前の俺は自分でも「やりすぎじゃないか」と思っていた。音楽を聴くだけなのに、なぜそこまでかけるのか。

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買ってから6ヶ月が経った今、俺は「正解だった」と断言できる。音楽の「聴こえ方」ではなく「見え方」が変わったからだ。

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YAMAHA HS5 vs HS7 どちらを選ぶ?|モニタースピーカー選びの前に知ること

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DTMを始めた当初、俺の再生環境はAnkerのSoundcore 3(市場価格:約5,000円)だった。コンパクトで音が良く、Bluetoothで手軽に使えるので気に入っていた。

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しかしここで根本的な問題があった。Bluetoothスピーカーは「楽しく聴こえる」ようにチューニングされている。低音が強調され、音の粒感がやわらかく、全体的に心地よい音になっている。これはリスニング用として正しい設計だが、音楽制作モニターとして使うと致命的に問題がある。

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制作した曲をそのスピーカーでチェックすると「良い音だ」と感じる。ところが同じ曲をiPhoneのスピーカーや車のカーオーディオで聴くと、低音がボワっとして音のバランスがおかしい。友人に聴かせると「なんか音が太すぎる」と言われた。

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原因はモニター環境にあった。楽しく聴こえるスピーカーでチェックすると、低音が過剰でも気づかない。だから「一般的な再生環境で正しく聴こえる音」を作れない。

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YAMAHA HS5を選んだ理由

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本格的なモニタースピーカーを検討するにあたり、俺は3つの候補を比較した。YAMAHA HS5、YAMAHA HS7、そしてGenelec 8010Aだ。

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Genelec 8010Aはフィンランド製の高精度モニタースピーカーで、プロスタジオでも使われる定番機だが、ペアで価格が13万円前後と高額になる。予算オーバーで候補から外れた。

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YAMAHA HS7はHS5の上位モデルで、ウーファーが7インチと大きく低域の再現範囲が広い。ただし1台あたりの価格が税込53,000〜60,000円と高く、ペアで10万円超になる。

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俺が選んだのはYAMAHA HS5(1台あたり税込45,000〜49,000円、ペアで約9万円)だ。5インチウーファーで、6畳〜10畳程度の部屋なら十分な音圧が出る。俺の作業スペースは8畳なので、HS5のサイズが最適だった。

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YAMAHAはHS5に「WHITE CONE(ホワイトコーン)」という特徴的なウーファーを採用している。このホワイトコーンは色だけでなく、素材の硬度と分割振動の少なさが特徴で、低域の解像度が高い。音楽の低音成分がどのくらいあるかを正確に把握するために、この解像度が非常に重要だ。

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HS5を使い始めて、音楽の「見え方」が変わった

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HS5を設置して最初に気づいたのは「音楽がうるさく聴こえる」ということだった。

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これは音量が大きいという意味ではない。いままで隠れていた音が全部聴こえるようになったということだ。ハイハットの細かいニュアンス、バスドラムとベースの音が重なる部分の濁り、ギターのアンビエンスに乗ったノイズ……Bluetoothスピーカーでは見えなかった問題が、HS5では全部見える。

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自分が制作した曲をHS5でかけると、それまで「完成した」と思っていた曲に大量の修正ポイントが見つかった。最初は「これ、使い物にならないんじゃないか」と思うくらい問題が露呈した。でもそれは良いことだ。問題が見えなければ修正できない。

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3ヶ月後、HS5でチェックして「OK」と判断した曲を友人に聴かせたとき、初めて「音がクリアだ」と言われた。モニター環境を正しくすることで、制作物の品質が根本から変わった。

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設置環境にも気を使って初めて意味がある

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モニタースピーカーは設置場所の影響を強く受ける。壁に近すぎると低音が溜まり、正確なモニタリングができない。HS5のような小型モニターは、デスクの上にスタンドを使って耳の高さに設置するのがベストだ。

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俺はIsoAcoustics製のスピーカースタンド(Aperta 200、1ペアで約16,000円)を合わせて購入した。これによってデスクの共振がスピーカーに伝わらなくなり、音の定位がさらにクリアになった。HS5本体と合わせた総額は約10万6,000円。これが冒頭で言った「10万かけた」の内訳だ。

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この一品

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「YAMAHA HS5」——Bluetoothスピーカーとの比較で言えば、価格は約18倍。しかし音楽制作の精度という観点では、比較にならない。

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HS5を買ったことで俺は「音楽を聴く」から「音楽を確認する」習慣に移行した。それが制作者としての成長に直結した。

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10万円という金額に圧倒されそうになる気持ちはわかる。でも、正しいモニター環境なしに作った音楽は、どこで聴いても「なんかイマイチ」のままだ。良い音楽を作りたいなら、自分の耳が騙されない環境を先に整えることが、すべての出発点になる。

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ここからは完全に余談になるんだけど、良い音で音楽を聴くことが与える豊かさって、説明しにくいんだよね。「高いスピーカーで聴くと幸せ」という話ではなくて、「正確な音で聴くことで、今まで気づかなかった音楽の構造が見える」という体験の話だ。同じ曲を聴いているのに、スピーカーが変わると発見がある。これは音楽好きにとって純粋な喜びだ。

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DTMでモニター環境を整えるのは制作の精度を上げるためだけれど、その副作用として「音楽を深く聴く習慣」がつく。好きなアルバムをちゃんとしたモニターで聴くと、プロのエンジニアがどういう意図でミックスしたかが見えてきたりする。それが次の制作のアイデアにもなる。

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世の中的な問題として、音楽制作を始めた人の多くがモニター環境の重要性を軽視して、Bluetoothスピーカーやイヤホンだけで作業し続けてしまうというのがある。結果、どこで聴いても中途半端な音のまま完成させて、「なんかイマイチ」を繰り返す。モニター環境の投資対効果は他のどの機材より高い。道具として正しいものを最初に選ぶと、その後の全部が変わる。

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