マイクロ法人を設立した後に「次に来るのが決算と確定申告」と分かっていても、実際に何をいつやるのか、個人事業主時代と何が違うのかはなかなか整理しづらい。この記事では、マイクロ法人(合同会社・株式会社どちらも共通)の決算・確定申告の流れを、個人事業主との違いを軸に整理する。

個人事業主との根本的な違い
個人事業主の確定申告は「自分の所得をまとめて税務署に申告する」1本の話だ。これに対して法人は、法人と個人の申告が完全に分離している。
- 法人側:法人税・法人住民税・法人事業税の申告(決算から2ヶ月以内)
- 個人側:役員報酬に対する所得税の確定申告(翌年3月15日まで)
つまり、マイクロ法人を持ったサラリーマンや副業持ちの場合、最低でも2本の申告が毎年発生する。これを理解していないと、スケジュールを大幅に誤る。
マイクロ法人の決算の流れ(合同会社の場合)
合同会社の決算日は自分で設定できる。3月決算、12月決算が多いが、繁忙期を避けた設定がおすすめだ。
決算期終了後にやること(2ヶ月以内)
- 損益計算書・貸借対照表の作成(会計ソフトで対応可)
- 法人税の計算・申告書作成
- 法人住民税・法人事業税の申告書作成(都道府県・市区町村)
- 税務署・都道府県・市区町村への申告と納税
マイクロ法人の規模なら、freee法人版やマネーフォワードクラウド会計で一通りこなせる。税理士に頼む場合は年間10〜30万円が相場感だが、最初の1期だけ頼んでノウハウを習得する方法もある。
申告期限と延長申請
法人税の申告期限は決算日の翌日から2ヶ月以内。ただし、定款で「定時社員総会(合同会社)または株主総会(株式会社)を決算から3ヶ月以内に開催する」旨を定めている場合は、1ヶ月の延長申請が可能だ。
延長申請は税務署に「申告期限の延長の特例の申請書」を提出するだけで受理される。毎年の手間は少ない。
個人の確定申告(役員報酬分)
マイクロ法人から役員報酬を受け取っている場合、給与所得者として確定申告が必要になるケースがある。
- 役員報酬が年間2,000万円超の場合:確定申告必須
- 役員報酬+本業給与が2ヶ所以上の場合:原則確定申告必要
- 役員報酬が少額(月5〜7万円レベル)かつ源泉徴収済みで年末調整する場合:確定申告不要のケースもあり
副業収入・医療費控除・ふるさと納税などがあれば確定申告で還付を受けられるため、実質的には毎年やる人が多い。
税務署への各種届出(初年度が特に重要)
決算・申告とは別に、設立時〜初年度に出しておくべき届出がいくつかある。
- 法人設立届出書(税務署・都道府県・市区町村)→ 設立後2ヶ月以内
- 給与支払事務所等の開設届 → 設立後1ヶ月以内
- 源泉所得税の納期の特例申請 → 任意(早めに出すと納付が年2回にまとまる)
- 青色申告の承認申請 → 設立後3ヶ月以内または初期事業年度終了前
源泉所得税の納期の特例は、毎月納付を年2回にまとめられる制度。人数が少ないマイクロ法人では必ず申請しておきたい。
会計ソフトの選び方
マイクロ法人の経理は複雑ではないため、クラウド会計ソフトで十分まかなえる。
- freee会計(法人版):UI直感的、申告書類の生成まで一気通貫。月額2,380円〜
- マネーフォワードクラウド会計:個人でMFを使っている場合に連携が楽。月額2,980円〜
どちらも無料トライアルがあるので、設立直後に触ってみるのが最短の判断方法だ。
初年度の決算で多い失敗
- 役員報酬の決議を忘れる:議事録がないと経費処理が否認されるリスクがある
- 期中の役員報酬変更:原則として事業年度開始から3ヶ月以内しか変更できない
- 設立費用の取り扱い:設立登記費用は「創立費」として資産計上し5年以内の任意償却が可能
- 消費税の課税判定:設立1期目は基準期間がないため免税業者になれるケースが多い
まとめ:最初の1期は「仕組みを覚える期間」と割り切る
マイクロ法人の決算・確定申告は、個人事業主より手続きが増えるのは事実だ。ただし、一度流れを覚えれば毎年同じことを繰り返すだけになる。
最初の1期は会計ソフトを使いながら自力でやってみて、どうしても分からない部分だけ税理士に単発相談するのが費用対効果の高い方法だ。
実務をゼロから学ぶなら以下が参考になる。



コメント