ローランドの電子ピアノ、10万円出す価値があるか正直に書く

音楽・機材

「電子ピアノなんて、安いやつで十分だろ」——俺はずっとそう思っていた。30代の頃に2万円台の安物キーボードを買い、弾けないまま押し入れにしまった。40代に入って再挑戦しようと思ったとき、今度は5万円台の機種を買った。でも結果はまた同じだった。

問題は自分の腕前だと思っていたが、実は違った。道具が悪かっただけだ。その事実に気づくまでに、俺は10年以上と合計7万円近くを無駄にした。

最初の5万円機で気づけなかったこと

40代に入って「もう一度ピアノをやろう」と決めたとき、俺が選んだのはカシオのPX-S1100(定価55,000円前後)だった。軽いし、薄いし、見た目もスッキリしている。ピアノ初心者向けの比較サイトでも上位に出てくる機種だ。

最初の2ヶ月は楽しかった。でも3ヶ月を過ぎたあたりから、練習していても「なんか違う」という感覚が消えなかった。鍵盤を押す感触が軽すぎる。どの鍵盤を押しても同じ重さ。強く弾いても弱く弾いても、出てくる音の変化が乏しい。

本物のグランドピアノは低音側が重く、高音側が軽い。これを「グラデーション鍵盤」という。5万円台の機種にはこれがない。だから何万回押しても、本物の感覚が身に付かない。俺はピアノの練習をしているつもりで、「それっぽい動作」を練習していたにすぎなかった。

Roland FP-30Xを触った瞬間、全部わかった

楽器店でたまたま触れたのが、Roland FP-30X(市場価格:税込95,000〜108,000円前後)だった。最初の一音で「あ、これだ」となった。

FP-30Xに搭載されているのは「PHA-4スタンダード鍵盤」。低音から高音にかけて鍵盤の重さが変化し、エスケープメント機能(本物のグランドピアノで感じる微妙な引っかかり感)まで再現されている。これが88鍵フルサイズで体験できる。

音源はローランドの「SuperNATURAL」技術。サンプリングだけでなく、鍵盤を押す速さや深さによって音の立ち上がりが細かく変化する。弱く弾けば繊細に、強く弾けば芯のある音が出る。5万円台の機種とは根本的に別の楽器だ。

俺が特に気に入ったのは、「ブルートゥース MIDIとオーディオ」に対応している点だ。スマートフォンアプリと無線で連携でき、Bluetooth経由でスピーカーから音楽を流しながら練習できる。コードがごちゃごちゃしないのは、小さな話に見えてじつは毎日の練習継続に大きく効く。

重量は約14kg。据え置きとして使うなら専用スタンドも合わせて買うといい。俺はKSC-90(純正スタンド)を一緒に購入した。スタンドと合わせても総額12万円台に収まった。

10万円という投資をどう考えるか

「電子ピアノに10万は高い」と感じる人は多いと思う。でも考え方を変えると話は違う。

俺は過去に2万円と5万円の機種を買い、合計7万円以上を使いながら結局挫折した。FP-30Xの1台を最初から買っていれば、その7万円の損失はなかった。しかも挫折した時間もなかった。

さらに言えば、ピアノ教室に通えば月謝が1万円前後かかる。FP-30Xは10万円だが、この1台があれば自宅で何年でも練習できる。3年通えば教室代は36万円を超える。道具にかける10万と、それを使って続けられる年数を考えれば、FP-30Xは明らかに安い買い物だ。

購入後6ヶ月が経過した今、俺は初めて「楽器を買って挫折しなかった」という経験をしている。それだけで10万円の元は取れたと思っている。

独学で続けるなら教材選びも大事

FP-30Xを買って最初に直面するのは「どう練習するか」という問題だ。俺がやったのは、まず教材本を1冊決めて、それを3ヶ月徹底的にやること。あれこれ手を出すと必ず散漫になる。

大人向けの独習教材は「ハノン」より「大人のピアノ入門」系が圧倒的に続けやすい。曲として完結しているものを弾くほうが、練習のモチベーションが維持しやすいからだ。

この一品

「Roland FP-30X」——これが俺の結論だ。安い電子ピアノで挫折した経験がある人ほど、この機種が刺さるはずだ。鍵盤の感触を一度体験してしまったら、もう戻れない。

ピアノは道具が悪ければ、どれだけ努力しても本物の感覚は身につかない。いい道具を持つことは甘えじゃない。正しい練習をするための、最低限の条件だ。

今から始めるなら、最初から正しい道具を選べ。それだけで、続く確率は倍以上になる。

ピアノの鍵盤

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